栄養かわらばん第10号
2000年7月発行
発行:日本臨床・公衆栄養研究会
発行者:井上 一也
栄養かわらばん第10号発刊にあたり
顧問 井上一也
「栄養かわらばん」も今回で第10号を発刊するはこびとなりました。切りのいいところで「栄養かわらばん」編集に携る広報部の理事の皆さんを代弁して、会員への希望、愚痴など少しこぼしてみたいと思います。
かわらばんは、1年間に3回の発行ですから4年目の第1号と言うわけです。1年にたった3回、8頁の機関紙の発行はたいしたことではない、と思う方もおられると思います。かわらばんは広報部が受け持っていますが、広報部には一人の栄養士もおらず、栄養士が何を望んでいるのか、どのような記事が喜ばれるのか、全く分からないまま暗中模索で続けてきました。たしか創刊号の編集後記で広報部の木村氏が”継続こそは力なり”、と書かれたと思いますが、これを実行すべく広報部の理事全員が一致して努力してきました。しかし、広報部の皆さんもそれぞれに仕事があり、一回の発行に3〜4回、年間10回以上集まってさらにそれぞれが家に持って帰り、記事の訂正編集をする、結構な重労働です。皆さんだいぶ息切れがしてきている様子です。
広報部理事(吉永氏欠)
栄養かわらばんは当会の趣旨に沿って会員の栄養士さんが興味を持ち、実際に何らかの役に立つようなものにと願って作ってきました。広報部(理事の吉田武男氏が部長で頑張っておられます)になんとか栄養士の方が入って責任者になってもらえたら、よりベターなかわらばんが出来上がることと思います。私は広報担当の理事ではありませんが、当会の顧問の立場として創刊の時からお手伝いをしてきました。
栄養かわらばん創刊のころ、100人近くの栄養士の集まりである当研究会ですから、様々な原稿が会員から寄せられ、掲載しきれずに困るような状態にすぐなるものと思っていました。載せられなければ頁数を増やそうかなどと話し合っていたものです。今思うとずいぶん甘い考えでした。
当初は、栄養かわらばんの最後に会員からの原稿募集の欄を設け、毎号これを掲載していました。しかし、1号から9号まで一人の会員からも自発的な投稿はありませんでした。栄養士の皆さんと直接お話すると、皆勉強がしたいとおっしゃいます。講演会、センスアップと執行部は懸命に皆さんの勉強になるようにと、いろいろな企画を準備し開催しています。しかし、出席者はいつも栄養士でない広報部の理事、開催の責任者である講演部・研究部の理事さんが殆どで会員の出席はいつも僅かです。広報部には講演会などのイベントを仕事にしている人もいます。こういうイベント的な講演会の参加費は当会の何倍もしますが沢山の栄養士の参加があるそうです。参加費が高いと皆さん聞きたくなるのかな、などとよく広報部で話します。そんな馬鹿なことはあるまいと思ってはいますが・・・・。
話は変わりますが当研究会の本年度のテーマは昨年度の講演会で、「日本の栄養士は20年遅れている」とのお話がありましたので、これについて考えていこうというものです。一口に遅れているといっても何が遅れているのでしょうか?日本の栄養学そのものの遅れか、それとも病院などでの栄養士の扱いの遅れ(行政の問題)、個人個人の栄養士の問題なのか。これらを検討し出来れば1年後、もしくは2年後には当会としての結論を出し、それに沿ってこれからの日本の栄養士のあるべき姿を確立するために努力をしていかなければならないと思います。
とりとめのない事を述べてしまいましたが、会員の皆様がいま少し“栄養かわらばん”に興味を持ち、「少し手助けしてあげようかな」などと思ってくだされば幸いです。
第40回講演会『栄養界における最近の話題』
社社団法人日本栄養士会 常務理事 原 正俊
平成12年5月29日に行われた総会後の講演会では、原正俊先生をお迎えしてお話を伺いました。原先生は、厚生省に入省され、専門官や栄養指導官等歴任後、
現在は、女子栄養大学客員教授としてもご活躍中です。また、栄養に関する著書も多数あります。
1.栄養士制度の設立経緯
日本の病院食の歴史は、食糧の確保ができ、エネルギ−は2400kcalからスタ−トしました。その後、昭和48年の審議会で見直され、適正なエネルギーの摂取を図るため2000kcalに変更されました。最近では、米の消費が減り、それに対して油脂エネルギーの摂取が増えているというのが現状です。
栄養状態を比較する場合、油脂の摂り方が目安となりますが、アメリカでは油脂の比率が、総エネルギーの37〜38%、それに対して日本では20〜25%にとどまっており、『和洋折中』の食生活が諸外国にとってモデル的存在となっています。
2.栄養士法の改正点のポイント
ところで、栄養士法は昭和22年に制定され、昭和23年の元日から施行されました。さらに、昭和37年になると、管理栄養士制度が創設されましたが、それは成人病がでてきたことがきっかけとなりました。
今年度の6月21日に行われる管理栄養士の国家試験を受験する人は約2200人です。栄養士法改正の主旨は、『生活習慣病』の疾病者に対して、きちんと指導、管理できる栄養士をつくることです。栄養士は、相手のことをよく聞き、その人のライフスタイルなどを改善する条件を提案します。現在はセレクトの時代でもあるから、個人個人に適した指導をすることが大切です。栄養士の皆さんは、お互いに頑張って実績を作って欲しいと思います。
平成14年4月1日から施行となる栄養士法の一部改正点について、その主なポイントをお話します。管理栄養士の定義から抜粋すると、「管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、@傷病者に対する療養のために必要な栄養の指導、A個人の身体状況、栄養状態等に応じた健康保持増進のための栄養指導、並びにB特定多数人に継続的に食事を提供する業者に対して栄養改善上に必要な指導等を行うことを業とする者」とされています。
今回の変更点を挙げるとは、以下の通りです。
@管理栄養士の免許が、登録制から免許制に変更された。
A医師の指導のもとに栄養指導を行うことが、医師の指示のもとにと変更された。
このように専門的なことは、医師の支配下から離れて栄養士に任されたことなりますから、きちんとやることが大切です。.
B次に、受験資格については現行の「修業年限+栄養指導の実務経験」が変更になりました。
今後は、ますます一次予防に力を入れていかなければならないと思いますので、そのためには、「子供の頃から良い習慣をつけて、病気にならないように」とアピールしていきましょう。
日本人の主食であるの米をしっかりとりましょう。一日30食品の普及については、調査結果によると、平均22食品の摂取ですが、“海、山、川、野の幸”を取り入れてバランス良い食品の組み合わせの普及が大切です。人間は数に反応するので、指導に当たっては上手に数字を活用していくとよいでしょう。
3.日本の栄養士の20年遅れについて
私は、「健康サミット」を5年間実施して、特産品を使い、個人個人のレ−ダーチャートを作成し、具体的に栄養バランスのアドバイスを行った経験があります。目で見て、食事を味わって、個人の必要量の目安を覚えていただき、「大変わかりやすい」と好評を得ました。
「日本の栄養士は20年遅れている」という問題を考えてみると、アメリカを基準にして比較しています。アメリカの栄養士は、マスタ−の資格を持っています。また、クリニカルとフードサービスとの担当業務分野が明確になっています。そして、クリニカル分野では、必ず院長の回診に栄養士がつき、きちんと業務を遂行していて、それぞれの専門分野に上下はありません。プライドを持って業務を行うことが何より大切です。日本は、アメリカとはシステムに違いがあります。
免許をもらうことは、社会から認知された資格であるということです。今後は、教育分野の充実と栄養業務の実績を作っていくことが大切です。
4.「健康日本21」の推進について
さて、「健康日本21」の推進については、社会的に糖尿病の既往のある人は、700万人(中年の10人に一人以上の割合)であり、予備軍を入れると1,400万人とかなり多い状態です。その人たちには、食事のコントロ−ルとともに、運動を
推進していかなければなりません。運動の中でも、歩くことはとても大切です。よい点としては、自分で調節ができることが上げられます。
また、BMIの普及については、BMIの上限として日本は25としてあります。しかし、WHOの上限は26.4です。この数値は、日本人の遺伝子を考慮して、肥満学会で決められました。これは節約遺伝子(thrifty
gene:生命の誕生以来
食料獲得の厳しい時代に、個体維持に効率よく有利に働いた遺伝子が、食料過多の今日では、逆に栄養過剰、肥満、糖尿病誘導因子として働く可能性がある)との関係があるからです。
基本的な考え方として、具体的な数値目標を立てること(国レベルでは、国民栄養調査の結果が生かされている)を実施して、5年で見直し、問題点を解決していく計画が必要です。実際は、各地域で問題点を出して目標を作り、達成率を評価していくなど、具体性のある計画が望ましいと思います。地域の住民が、皆で取り組んでいくべきものです。
今回の第6次栄養所要量の改定は、厚生省が手がけて6回目の改定になります。栄養所要量、食事摂取基準を活用して、個人差を考慮した指導をしていく。また、ダイエットの指導の時は、特別場合を除き最低1200kcalを下回らないよう注
意する必要があります。その際、基礎代謝を基準に話すとわかりやすいでしょう。つまり、体温を維持していくために最低のカロリーが不可欠であるなど、理解しやすい言葉で話すとよいと思います。
今後の管理栄養士、栄養士の活動や発展にあたっては、専門性の強化を図り、専門職が社会的に評価されるように、みなさんが一緒になって頑張ってください。 (文責:講演部 松本 紀子)
各種食品のリパーゼ活性に及ぼす影響
管理栄養士 野田淑子
日本人のエネルギー摂取量に占める脂質エネルギー比率は依然増加傾向にあり、国民栄養調査によれば平成10年では26.3%と適正比率の25%を超えて高率になっています。脂質の過剰摂取は肥満や高脂血症ばかりでなく心臓病や大腸がんなどの一因ともなり、生活習慣病予防の観点から注意を払うべき問題です。
近年、糖尿病や肥満の抑制を目的に消化酵素の阻害剤が探索されおり、脂質の消化、吸収に関与するリパーゼを阻害する天然成分についても様々報告されています。一部の食品についてはリパーゼ阻害の検索が行われてますが、調べられていない食品も多数あります。
そこで、肥満及び高脂血症治療食の開発作成に資する目的で、140種の食品(野菜類 40種、果実類 29種、きのこ類 9種、いも類2種、豆類
5種、香辛料 26種、褐色系加工食品 29種)について、リパーゼ活性に対する阻害作用を検索しました。
リパーゼ活性の測定には、ブタ膵リパーゼと発色性基質の4−メチルウンベリフェリルオレイト(4-MU oleate)を用い、酵素反応によって生成した4-MUをHPLCによって分離定量し、生成量を求めました。
その結果、以下の試料食品にリパーゼ活性に対する阻害作用が認めらました。
@ 菜類において、生、加熱試料ともに阻害したものは6種類(かいわれだいこん、しょうが、トマト、ミニトマト、ピーマン・赤)、生試料のみ阻害したものは5種類(しそ、わさび、ピーマン・緑、ししとう、オクラ)、加熱試料のみ阻害したものは2種類(サニーレタス、しゅんぎく)あった。
A 実類において、生果で阻害したものは7種類(もも、すいか、パインアップル、キウイフルーツ、かき、バナナ、いちご)、缶詰で阻害したものは2種類(トロピカルフルーツ、マンダリン)あった。
B のこ類において、生、加熱試料ともに阻害したものは1種類(きくらげ(乾))、生試料のみ阻害したものは1種類(エリンギ)あり、加熱試料のみ阻害したものはなかった。
C も類において、さつまいもは生、加熱試料ともに阻害し、じゃがいもは生試料のみ活性化した。
D 類において、生、加熱試料ともに阻害したものはなく、生試料で阻害したものは2種類(りょくとう、あずき)、加熱試料で阻害したものは2種類(えだまめ、だいず)あった。
E 香辛料において、エタノール抽出物に1種類(辛子(粉))、水抽出物に4種類(辛子(粉)、シナモン、オールスパイス、チリパウダー)活性化したものがあったが、その他の香辛料はすべて阻害した。他の食品に比べ、香辛料は影響が大きかった。
F褐色系加工食品において、すべての茶類(7種類)、インスタントコーヒー、ココアは阻害し、味噌類、しょうゆ類、ソース類は活性化するものが多かった。
以上の結果からリパーゼ活性の制御を目的とする治療食開発の可能性が示唆されました。
この実験では、香辛料と茶類に非常にリパーゼ活性に対して強い阻害が認められた。野菜類のかいわれだいこん、わさび、しょうがや香辛料などのような、辛味のある食品にはリパーゼ活性を阻害する傾向がみられました。また、野菜類のミニトマト、トマト、ピーマン・赤や香辛料のパプリカ(エタノール抽出物)に阻害作用があったことから、赤い色素成分にリパーゼ活性を阻害するはたらきがあると考えられます。
今回の実験で、普段摂取する頻度の多い食品のリパーゼ活性に対する影響がわかりました。これらの結果から、例えば、料理の味付けに香辛料を使ったり、食事のときに一緒にお茶を飲むなどをすることで、肥満や成人病を防ぐ食事や薬剤を使わず食事管理をして治療をおこなうなどの応用ができます。しかし、リパーゼ活性を阻害することは、脂溶性ビタミンの吸収を阻害することにもなるので、治療食に応用する場合には注意が必要です。また、この実験の結果が、生体内のリパーゼ活性にあてはまるとはかぎらないので、そのことも含めて治療食へ展開していくことが、今後の研究課題になると思われます。
私のポリクリ日記
昭和大学医学部6年 井上紫津子
私は今、昭和大学医学部にてポリクリを終えたばかりの6年生である。会員の皆様に医学部や大学病院の医師がどのような感じで日常を過ごしているかを知っていただきたく筆を執った。文章は書き慣れないため、読みにくい箇所もあると思われるがご容赦願いたい。
ポリクリというのは大学により期間などまちまちであるが、だいたい5年生から6年生の夏頃まで行う病院実習のことであり、その期間の我々も「ポリクリさん」と呼ばれる。昭和大学では1学年に120人ほどの学生が在学し、6ないし7人が1グループとなり各科を2週間ずつ順にまわる仕組みとなっている。
実習のプログラムは大きく分けて5つの分野、つまり1.講義 2.検査 3.手術見学 4.外来 5.病棟から成り立っている。検査では実際に自分が被検者となってみたり患者さんの検査に立ち会わせていただく。手術見学は前日までに手術を受ける患者さんの疾患や状態を把握し、当日行う予定の術式や、その術式にともなう解剖、術後の注意点等を完璧にして(といってもいざ先生に質問されると答えられず、勉強不足を痛感させられることもしばしばであるが)見学させていただく。外来では主に初診の患者さんのお話を予診という形で聞かせていただき自分なりのその時点での診断、鑑別診断、治療方針などをうち立てる訓練を行う。病棟実習は病棟での処置などに立ち会わせていただくが、それとは別に担当の入院患者さんを一人から二人受け持たせていただく。 この患者さんには許可を受けた上で、毎日診察させていただいたりお話を聞かせていただく。実習時間に「病棟」のプログラムが組み込まれている日はその時間内に、また、組み込まれていない日や、病棟時間内に患者さんと会えなかったときは、実習終了後に患者さんに会いに行く事になる。また、この受け持ち患者さんについて、その疾患の概念や、検査、鑑別疾患、治療法、合併症、禁忌薬物等の知識は主治医と同程度要求される。
大学病院の先生方を見ていて一番感じたのはどの先生もタフであるということだ。先生方は日常業務をこなした後、さらに必要と思われる知識を補充する。こう書くと当たり前のように思われるかもしれないが、内科の一,二年目の医師であるとその日常業務は、大体7:00から20:00位までになる。これは多くの検査結果が夕方に出そろうため、その後の指示や治療方針をうち立てるのが夕方以降になるからである。また、カルテ書きも含めると、全ての業務を終えるのは23:00になるという。もちろん患者さんの容態が悪いときには家に帰ることは出来ない。このような状態でも、さらにその後勉学しないことには進んでいく医療において行かれてしまう。若い医師ではなおさらだ。そういうわけで日常的に目に隈が出来ている主治医と同レベルで話そうとする我々ポリクリも、大学を終えた後は図書館へと走るのであった。 (続く)
はつらつ人生の食生活セミナーを担当して
練馬区栄養士会 渡瀬貴美香
私が、このはつらつ人生の食生活セミナーを担当したのは昨年の7月のことで、今回で2回目となりました。
私は学校を卒業して、産業部門の栄養士として10年間勤めて、主に企業の社員食堂の献立を立てておりました。その他新メニューの開発、イベントメニューなどを担当することもありました。この部門はカロリーとか栄養価も大切ですが、どちらかというとコストが主とされていました。お客様に満足してもらえる献立を立てるということはなかなか大変でした。その中で、いつか健康な人に対して、その健康を維持するための栄養指導がやりたい、という目標を持つようになりました。そして、産業栄養指導者という資格を持ったのですが、活躍している方は、ほんの一握りといった状況だと思います。私も資格を持ったとはいえ、なかなかそれに伴う業務につくことができず、ただ日々の仕事をする事で終わっていました。そんな中、1995年に第15回健康教育世界会議(生涯にわたる健康をめざして)というイベントが、日本で初めて幕張メッセ国際会議場で開かれることを知り、私は自分の目指している分野なので、すぐに原稿を書いたのですがこれが使用されまして、このイベントに参加する事になりました。
世界各国からの参加があり、ほとんどが医療関係の方ばかりで、パネルなども英語の専門用語が多かったのでカルチャーショックを受けました。日本人部門でも、医学部の研究室、大学の栄養食品研究室の方々が、チームを組んで発表されていたので、研究のやり方など、私にとっては、色々と勉強になりました。そして、何よりも感動したのが“生涯にわたる健康をめざして”の会議のタイトルですが、世界各国でこんなにも研究が進められていることがわかり、今後自分も勉強したり研究などに参加したいという課題ができました。
そして、今は結婚し専業主婦として2児の母と
なり育児に専念しております。今から3年前に、井上先生が主催される練馬区栄養士会との出会いがあり、又自分の目標に向かって進める道ができ、嬉しく思っています。ただ育児をやりながらなので本当に時間がかかると思っています。主婦業も特に育児と重なると、なかなかでして、自分が経験するまでこんなに大変なものだと思いませんでした。
私は昨年日本医療栄養センターで12年間継続している「はつらつ人生の食生活セミナー」の講師をお引き受けしました。私が第1回目に担当したテーマは「1日1600Kcalでカルシウム満点」でした。皆様もご存知のようにカルシウムは通常600mgを目標としていますが、カルシウム800〜1200mgは厳しい課題でした。その献立作りには結構時間がかかりましたが、やっと1136mgまで持って行くことができました。実習献立は、メインを「豆腐のミルク入りキッシュ風」にしたのですが、生徒の皆様にも喜んで頂くことができ、自分でも満足しました。
今回の2回目は「あなたも今日から野菜博士」というテーマで、またまた井上先生から、1食200g以上の野菜を取り入れ、1日で600g以上の野菜を入れた献立という課題を頂き、私は一瞬ため息が出るほどだったのですが、学生時代の「野菜記」という各野菜の由来が書かれてある書物から読み始め、私が担当するのは7月なので、夏野菜を中心に取り上げ、そこで上がった野菜を今風にアレンジして献立を作ってみました。最後に野菜を1食200g以上にし、カロリーを調整しました。今回の献立は、自分でも立てていて楽しいくらいスムースに出来ました。ただ、当日の調理実習の際食数が多かったため、少し段取りが悪かったことを反省しています。
このセミナーに参加される生徒の皆様は、この夏でまだ2回目なのですが、とても意欲的で、熱心に臨んでおられることがよくわかりました。このセミナーの題目どおり「人生はつらつ・・・」とは、それなりの努力が必要だと思います。私しも生徒の皆様に負けないように、家庭で取り入れられる目新しい料理を研究し、このセミナ−に活かしていきたいと思います。そして、自分の目標に向かって日々努力を重ねて行きたいと思います。
漢文への誘い
顧問 井上一也
以前 勉強会で漢方の傷寒論から始まり色々な漢詩のお話をしてきました。今度はかわらばんの紙面で漢詩をいくつか紹介し、私なりの解説を試みたいと思います。今回は漢文を掲載するだけにします。内容の解説・読み方は次の機会にします。
紀元前約200年秦の始皇帝が死に息子の胡該が皇帝になった時、秦は項羽と劉邦に滅ぼされます。その後項羽と劉邦は覇権を争って戦います。項羽は敗れ、結局劉邦が漢を興して漢の高祖となります。鴻門は咸陽の東にあり函谷関との間に位置する地名です。項羽と劉邦は共に秦の都咸陽を2方から攻めていましたが、項羽は北方の敵を倒すために手間取り劉邦が先に咸陽を落して項羽を怒らせます。この時劉邦は強い項羽の相手になれるだけの力を持っておらず、項羽の怒りを解くために、単身で鴻門の項羽の陣へ出かけ、命をかけて項羽に謝ります。これを後の人は「鴻門の会」と呼んでいます。その後項羽と劉邦は相争います。
皆さんは「四面楚歌」という言葉をご存知と思いますが、これは楚の国の項羽が劉邦に追い詰められ垓下まで下ってたてこもります。この時周囲を取り巻く敵の軍勢の中から楚の歌が聞こえ項羽は「漢皆已得楚。是何楚人之多也」と驚き、敗北を悟り、5000騎の劉邦の軍の中に800騎の兵と共に城を出、ついには囲まれて自刃して果てます。この詩はこの両雄の戦いの過程を想い、今は全て自然のなかに溶け込んでしまって跡形も見えない。自然の雄大にして人の営みの小ささ果敢なさを詠ったものです。
編集後記特集
■ 生活習慣病と自己管理
日本や欧米を中心とした先進諸国においては、食中毒やエイズ等の特異な例や風邪を除いて病原菌やウイルスから派生する病気はほとんど駆逐されたといっても過言ではない。また、もし病気にかかったとしても命にすぐ関わるケースは非常に少なくなっている。それと反比例するように高脂血症、糖尿病、心臓病、高血圧等に代表される生活習慣病は増える一方で、しかも徐々に体を蝕みながら最終的には命に関わってくる。
この生活習慣病という名称を誰が考えたかは知らないが、以前使われていた成人病と比較すると非常に具体的で解りやすい。つまり、自分の健康に弊害のある生活習慣を続けているとこの病に「罹る可能性が高くなる」ということである。しかし、自分の生活習慣を変えることは途方もなく困難でしかも超人的な意志力が要求されることから、病気にかかって初めて自分の生活習慣を見直すということが一般的だろう。それでは、この生活習慣病に罹らない方法があるのだろうか?
私が、ルーミート(カンガルー肉)を輸入・販売するきっかけとなったのはオーストラリアのメルボルン大学のオデア博士が書いた論文を手にしたことにある。オデア博士は生活習慣病の専門家で、1983年頃オーストラリアの先住民であるアボリジニーに生活習慣病が少ないことから彼等の食生活を研究し、アボリジニーの伝統的な食生活は生活習慣病を防止するという論文を学会で発表した。しかし、ここで考えさせられることは、如何にすばらしい食生活でも先進国の人々が彼等の食生活には変えられないし馴染めないということである。また、食生活だけでなく普段の生活も運動量という面からだけでも、私たちとは大きな隔たりがある。私の知人が「生活習慣病をなくすには原始的生活と近代医学をミックスした社会に人間を放りこむしかない」という極論を展開したが、この贅沢に慣れ親しんだ社会では現実的には不可能としても案外間違っていないかもしれない。
私自身が出している答えは、「如何に自己管理を徹底するか」ということだが、意志の弱さもさることながら喫煙習慣も含めて「自己管理」からは程遠い状況にある。したがって、日本医療栄養センターが推進しているセミナーや料理教室を中心とした啓蒙活動は、現代社会になくてはならない存在であるだけでなく、活動に参加することが自分自身の生活習慣を戒める役割を果たしている。
(広報部理事 長友信)
■ 介護保険あれこれ
介護保険が4月から実施され、業者、利用者ともに混乱をおこしているようです。業者は、役所の整備の不備で4月末の保険請求が遅れたり、予定していた顧客獲得が出来ず事業を縮小する企業などが出て来ているようです。
私事ではありますが、仕事で介護関係の話もあり、仏教関係の仕事や、生前ビデオの話など、介護と言うよりも死への準備といったビジネスの話が、聞こえてくるようになりました。時代の多様性と云うか、高年齢化社会に向けてさまざまな変革があると考えています。
当研究会の会員の方も介護に関わっている方が多いと思います。「かわばん」でも、最新の栄養士を取り巻く環境をお伝えできるように、会員の皆様の情報を広く求めています
(広報部理事 吉田武男)
■ 100歳長寿者と幸福を考える
厚生省が、9月8日に発表した今年の全国高齢者名簿(長寿番付)によると、全国の100歳以上の高齢者は、13,000人を突破し、過去最高を更新したとのことである。女性は10,878人、男性が2,158人である。100歳以上の人口は、20年前の13.5倍、10年前の4.0倍と短い間に急速に伸びている。
人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数では、九州、四国、中国地方が多く、全国平均では10.29人である。都道府県別では、沖縄(30.56人)が11年連続トップで、島根(30.10人)、高知(29.51人)と続き、最も少ないのは11年連続で埼玉(4.57人)である。
高齢者の「長寿と幸福の相関関係」について、大いに関心があるがその実態のデータは、あまり発表されていないようである。「長寿とQOL」の関係を生活習慣研究から捉えたデータがあればと思う。
長寿者の成長過程と生活習慣などを考えると、少なくとも現在のような欧米風の食生活や栄養過剰と言われるほどの豊富な食材や料理レシピはなかった時代を生きてきた人がほとんどであろう。
それに対して、我々50歳代以下の年代では、食生活だけに限ってみても、子供頃の生活習慣を振り返ると、健康を損ねる遠因となる要件に満ち充ちている。成人病を生活習慣病と呼び直して、子供の頃からの“栄養、運動、休養、こころ”のよりよい生活習慣を築くことが、やがては高齢者になってのQOLを保証するかのような論調がある。それが本当かどうかを確かめるためには、100歳長寿者の生活習慣を踏まえた意識・態度・行動についてのを医学的、疫学的な経験科学調査などが必要である。
(広報部理事 木村 和治)
■ 人間ドックにて
最近、基本を忘れた不祥事が目立つ。雪印食品と警察(軽察)は嘘の量産、医療ミス、三菱自動車のクーレム隠し等は皆、舌多加者ばかりである。
我に返って反省してみると、此のところ云うは易く行うは難しが多い。健忘症も手伝って人の道まで、踏み外し、知らぬ処で他人のお世話になっている。あと数ヶ月で定年でもあり家内とー泊ドツクを受診してみた。
思っていたより多くの反省点が出て来たので、これからはもっと身体と余生を大切にしたい。
病院で感じたことは、1泊ドックは日帰りドックと違い時間がたっぷり有りゆったり出来たこと。人間ドックは船のドックを真似たものと聞くが、まだまだ効率がよくない。早く船の様に受診者主体になって欲しいものだ。
仕事がらー番感じたのは、看護婦さんが体脂肪測定の説明を間違ってしていたことである。「両足間で計るタイプは下半身の脂肪が解り、両手で計るタイプは上半身の脂肪が解る」との事、正しくは二つの測定法も共に身体全体脂肪を推定しているのだが、インピーダンスの測定部位がメーカーによって、区々のため此のような説明になったのだろうが。先生は知っているのかな、後でそっと説明しておいたが。
帰りに傘が冬くなって探していたら側にいた看護婦さんが「残っているのを使ったら」と云ってくれたが、私が他人のを使ったら、持ってきた人は又いやな思いで他人のを持って行くのかな、これでは世の中、悪くなるばかりだ。言葉の大切さと基本をもっと勉強し身につけて欲しいと思った。
盛年 重ねて来らず、一日 再び晨なり難し、時に及んで当に勉励すべし。
(広報部理事 椿 八郎)
■ シドニーオリンピックに思う
今、どこに行っても巷の話題は、シドニーオリンピックと巨人の優勝。テレビの視聴率は40〜50%という驚異的な数字を記録しているらしい。しみじみと、現代人にとって「スポーツ」、筋書きのないフィジカルな熱い魂のぶつかり合いこそが、最高のエンターテイメントなのだと感じさせられる。確かにそこには、日々の日常生活とはテンションの異なったドラマが展開され、観る者の琴線を揺さぶる感動がある。かくいう当の私も何度、思わずこみ上げてきて目頭が熱くなったことか。実に良いものである。誰もがみんな「感動」を求めているのだ。ぎりぎりの極限で発揮される奇跡的パフォーマンスに魅了されて。
そこでダブったのが、「1日10000歩」などに代表される、運動不足、生活習慣病大国の現状。このオリンピック開催中に気のせいかご夫婦でウォーキングする姿が町中に増えた気もするが、観る感動だけではもったいない。日常の枠を破って、フィジカルに健康を体感することこそ、感動の第一歩。「よし、俺もテニスする時間を増やしたり、泳いだり、自分のパフォーマンスに自分自身で感動するぞ!」と息ごんでおります。挑戦して、楽しみを刻んでいくことこそ人生の喜び。皆さんも何か新しいこと始めてみませんか?
(広報部理事 総合健康研究所 代表 菅野隆)