栄養かわらばん第14号

2002年8月発行
発行:日本臨床・公衆栄養研究会
発行者:井上 一也

サプリメントの正しい理解と活用法(その2)



◇サプリメント使用の制度化における問題

 私 の知る限りでは、サプリメントを認めて制度化するにあたり、生理学的観点から論議している記事は見当たらないように思います。
自然界の一部として人間の食生活を考えると、自然の中で生産される食物をそのまま摂ることが正常で、今後の地球に無理が無い姿と言えます。栄養士としては食べ物を消化吸収して栄養素として摂り、活用する仕組みを生理学や栄養学の両面から深く理解しておくことが大切です。 教 育には、知・徳・体・食育があるとされますが、食生活は食育としての分野で、生きる上で一 番大切な知識であることから、幼少児の内から広範囲に、具体的に教えなければなりません。その 中で栄養士の役割は、「食事をする(献立を考え、食材を買い、作り、食べる)」というこれまで自然 になさっていたことを当たり前に行えるように教えることです。サプリメントについては、その人 に身体や栄養摂取面での特殊事情があれば、そのために使うよう指導をすればよいと思います。そ の時はドクターに、「この人は食事の面で何々が不足し、また摂取できないので、できるだけ普通 食で栄養を摂るように仕向ける努力をするが、それでもカバーできない場合にサプリメントを使い たいがどうですか」というようにもっていくことです。そうではなく、初めから食生活を改めない でサプリメントをすすめ勝手にサプリメントだけを摂っていれば問題が改善され、健康でいられる という錯覚を起こさせるような指導をすれば、それは非常に危険です。私はサプリメントを頭から 否定はしませんが、栄養指導の立場からすれば、それを安直に使わないようにと、助言しています。

◇サプリメント活用の姿勢について
 このように現在打ち出されているサプリメント の認定制度の方向については、更に考慮を加えた自分なりのサプリメントに関する信念があります ので、私自身は、それをみんなに言い続けてゆくつもりです。
サ プリメントのとしては、歴史的に食物から十分に補えないもの、例えば、日本人はカルシウム の摂取量が継続して少ないので、補助食品を摂るとか、また、ビタミンC やB1 は大正時代から民 間薬が出されていたので、その程度の利用でよいのではないかと思います。
本来、栄養士は食物を扱う立場にあります。アメリカでは口に入るものは食品とされ、サプリメ ントも食品の一つとなっていますが、自然の食品と食品工業的に製造されたサプリメントとは、区 別して考えた方がよいでしょう。こうしたことを基本に据え、栄養士としては八百屋、肉屋、魚屋、 果物屋さんなどで売っている仕事として扱う食品が食物であり、その食物をどう食べるかがその人 の食生活の質を決めることになります。また食物の流通バランスとして、生産量と消費量について、 一人の人間が一日に、一ヶ月に、一年に、どれだけの栄養素を何から摂取するかを決め、全体とし て年代別にみてどうかなどを勘案して、日本の食糧需給のラインが出されていますが、その一方で、 できるだけ食料の自給率を高める努力を払うのは当然ですし、経済効果からみて、何をどこから輸 入したほうがよいかとか、また、有事の場合の食糧確保はどうしておくかなどを踏まえて、食糧の 生産・流通を構築しておくことは栄養士にとっても必要なことです。

◇サプリメント活用の考え方
 エネルギーの含まれていないサプリメントを食事の代わりにすると危険です。食物に含まれるタンパク質、脂質、糖質からエネルギーを摂り、これに加えてその他の栄養素として、ビタミンやミネラルも摂取するというのが自然な食事の仕方です。またタンパク質は、動物性、植物性を1 :1の割合に摂ることが望ましく、脂質も同じように動物性脂肪と植物性脂肪の2 つの系統があり植物性オイルの不飽和脂肪酸の種々な生理作用が明確にされています。いろいろな特徴をもった食物から栄養素を摂るということが、体にとって無理のない上手な食べ方です。
今の私達が、次の世代の人々に対して、きちんとしたものを食べて健康を保ちましょうと言い伝えることが大事です。正しく食べることを原点として、それがどうしてもできない場合にのみ臨時にサプリメントを補助させるということが妥当でしょう。第一次予防、第二次予防ということが医療の面では言われますが、それに例えるなら、食生活の第一次予防段階は自然の食物で栄養素を摂ることであり、第二次・第三次として一時的にサプリメントを使うという考え方になります。つまり、自然の食べ物からみれば、サプリメントは位置づけが薄いことを常に人々に意識させなくてはなりません。こうして、サプリメントの役割は、それを利用する人やその状況・環境と結びつけて理解させ適量の利用にとどめるよう支持する必要があると考えます。(次号に続く)

■第50 回講演会「子供の栄養問題点と栄養行政の最新情報」

第50 回講演会は、元日本栄養士会会長の藤沢良知先生をお招きして、平成14 年5 月18 日に開催されました。その講演内容の要旨をまとめて報告します。

◆子供の栄養問題点
 今は“心の時代”といわれています。子供たちの心がキレやすくなっているため、文部科学省では小中学生のために “心のノート”を作成しました。
@食べることの発達的意義
母 親の愛情は、食べもの(母乳)と深い係わりがあり、生まれてから最初の授乳経験は、母子関係やその後の親子関係、さらに子供の性格形成にまで深く影響をもたらします。そのため、授乳が円滑に行われることは、母子双方に大きな満足感、安心感を与えますが、逆に、授乳がうまくいかない場合は、双方に不満や不安、いらだちなどの感情を惹き起こすことになります。人生のスタートになる母子関係を充実させる観点から、母乳育児や母子相互作用が極めて重要といえます。
A食の乱れは心の乱れ
 東京都足立区学校栄養士会が実施した<非行が問題となっている生徒の食事調査>をみると、例外なく、「朝食を食べない」、また「食事らしい食事は学校給食だけで、家庭では殆ど食事をせずに外でスナック、インスタント食品ばかり食べている」という実態が報告されています。もとより、非行の要因はいろいろ複雑でしょうが、“食の乱れ”が非行の第一歩であることは、否めない事実です。子どもの健全育成には“食”の安定と、それに伴う母親の心、家庭の心のプラスが重要と思われます。
Bホスピタリズム
ホスピタリズムとは、病院や施設に収容されることで生じる子どもの身体的,心理的発育障害を指しています。また、双子で生まれた一人ばかりをかわいがると、もう一方の子どもがうまく育たなくなることもその一つです。要するに、欲求不満や愛情の欠落があると、栄養素の消化吸収や利用などの栄養効率が悪くなり、成長ホルモンの分泌も悪く、発育障害を来たすことになります。最近は,病院や施設の養育環境は改善されて問題は少なくなっていますが、家庭においても母子分離、適切な母性的愛撫の欠如に起因する愛情遮断症候群が観察されています。
C子どもの心を育てるために
現代っ子は、物質的に恵まれた豊かな社会に生きていますが、果たしてそれで幸せなのでしょうか。また、親がいかに子どもを可愛がり、手をかけているように見えても家庭内暴力、少年非行、いじめ問題、登校拒否など、親の手に負えない深刻な社会問題が多くなり、子どもをいかに育てるかは、極めて重要な問題となっています。その背景には、お互いに思いやりの心が失われつつあるからともいえます。

◇親と子どもの“心のきずな”を大切に
 子どもの心を育てる上からも、親子(母と子、父と子)という関係だけでなく、暖かい家庭環境の中で、家族そろって食卓を囲むといった“食生活”を中心とした中から、親と子、そして家族同志の心のきずなを伸ばすよう考えたいものです。
@基礎的生活習慣を身に付ける
 幼児期に身に付けたい基礎的生活習慣としては、食事、睡眠、排泄などの生理的習慣と清潔、着脱衣などの習慣があります。とくに、子どもの心を育てる立場からは、社会生活をする上での規則や規律を守ること、あいさつ、礼儀、感謝などの態度、社会生活上の協力の態度、食事は揃って楽しく食べること、幼児期からの家事の手伝い、食事を作ってくれた人への感謝の気持ち、食べ物を大切にすることなどは、幼児期にしっかりと身に付けてあげたいものです。
基礎的な生活習慣を身に付けさせれば、子どもは自信と独立心を養い、食習慣形成上や人格形成上にも大きな影響をもたらすことになるでしょう。
A生活のリズムを整える
 早寝・早起きといった習慣は、生活リズムを整え、体内の消化吸収、栄養素の代謝など、脳神経やホルモンによって微妙に調節されている機能を伸ばすでしょう。一方、夜食をとる子どもは、病気になりやすいというデータがあります。
B思いやりの心を育てる
 思いやりとは、人に対する同情、共感の心であり、自分の立場を超えて相手の立場を想いやる優しさに満ちた心です。甘やかされて育った子どもは、我慢すること、思いやりの心も育たないでしょう。
C共食の奨め
 食事は、共食が大切です。孤食では食欲もわかず、楽しみもなく、胃や腸の消化機能の活性を低下させ、精神的にも不安定で、子どもの心も育ちません。
D幼児期から家事体験を
 アメリカや韓国では子供に家事手伝いをよくさせていますが、日本ではしなくなっています。調理のお手伝い、はしや食器を並べる、料理を運ぶ、食卓を拭くなどは、親が面倒がらずに幼児に参加させて、望ましい食習慣・食行動の育成、そして、心の芽を伸ばしてあげたいものです。
家庭の手作り料理は、家庭の味として親から子へと伝承してあげることが食の文化を育て、子どもの心を育てることにも通ずるものと思います。

◇なぜキレる子どもの心
〜食からのアプローチの大切さ〜
@ 物から心の時代へ
最近は、“物の豊かさから心の豊かさの時代”へと人びとの価値観が変わっています。食の問題にしても、食事は栄養価の調ったものをおいしくというだけでなく、食事は揃って楽しく食べるなど、食のコミュニケーション機能を大切にしたいものです。
A行事食・郷土食を大切に
正月、ひな祭り、お節句など、家庭の伝統的な行事や催事は、家族の会話を増やし、心を養う上でも極めて大切です。

◇荒れる子どもの健康状態は
@学級崩壊の裏にあるもの
図1 は1992 年に東京都教育委員会が行った健康調査の結果です。ここ1 ヵ月ほどのからだや心の状態を質問し結果、9 割の児童生徒が何らかの不調を訴え、中でも眠いが63.4 %、横になって休みたい48.4 %など、眠気やだるさを感じている子が多くみられます。精神面でも、大声を出したり、思い切り暴れ回りたい、根気がなくなる、イライラすると答えた子が4 人に1 人おり、ストレスが募っている様子がうかがえます。
次に、この一年間に病気やケガをした児童生徒は34 %みられました。中でもアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの割合が多くみられます。荒れる子どもの背後にある子どもの心身の健康にも目を注ぎたいものです。
A不定愁訴の原因について
現代っ子の不定愁訴は、夜型の生活による慢性的な生活のリズムの乱れが大きな原因をなしているように思われてなりません。最近の子どもたちは、大脳前頭葉での興奮と抑制という神経過程の基本的な働きが十分に育っていないため、それが物事に集中できず、教師のいうことを聞かないなど、荒れの原因となっているようです。


B心を育てるために
  自律神経系の失調や病的症状を回復し、大脳前頭葉を発達させるためには、子どもの時から、時の経つのを忘れるくらいスポーツや運動、遊びや趣味に打ち込んで、その中から感動のある生活、リズムのある生活を通して健全なからだと心を養いたいものです。

■健康増進法についてのお話
 かつて、昭和27 年に栄養改善法ができ、現在の長寿国・日本をつくりましたが、“栄養”がさけばれる時代は終って、健康づくり運動が盛んになり、栄養改善法から“健康増進法”へと改正されました。健康増進法となったため、保健・医療も入ってくるようになりました。
“栄養”ということばは、世間では狭い範囲で理解され、社会的に向上されにくくなってきました。国立栄養研究所も国立健康栄養研究所と改名されました。厚生省の栄養課も生活習慣病対策室と改名されました。「栄養,栄養」と、言っている時代は、過ぎましたが、栄養士にとって“栄養”という言葉から離れて活動することはできないので、これからは、広い視野から健康問題、医療保健問題をしっかりと、とらえて栄養の面は、さらに深く掘り下げて科学性のあるものにしなければ、時代が受け入れてくれなくなります。
@ 健康増進法
 基本方針には「健康日本21 」がありますが、こうした健康づくり運動は、10 年前に、カナダがはじめた運動で、これからの医療は予防対策をしなければならないとして、勧められた運動です。
また、具体的な目標値設定型、例えば、塩分は1日10 グラム以下、野菜は1 日350 グラムというように、目標値を決める目標値設定型食生活改善運動です。
改正にあたり従来の国民栄養調査が変わり、国民健康栄養調査になりました。集団給食施設は、特定給食施設と変更され、また、たばこをすわない人を守るための“受動喫煙防止”のために必要な措置を講じられるようになります。そして、栄養改善法は廃止されます。
〔文責:広報部理事 中 川世理子〕

■「ドクターアトキンス:ローカーボ
(超低炭水化物)ダイエット」の実践記録
〔その2 〕
〜4 ヶ月で9kg 痩せた!〜
広報部理事 長 友 信
前回の編集後記で「新しいダイエット法の試み」
として、私の妻が実践している「アトキンス・ダイエット」のさわりを紹介したところ、さらに細かい内容を知りたいとのご意見を頂きました。幸いにも、実践している当人が減量プロセスをメモしてあったので当人の許可を得たうえで、その内容を皆さんに公開することにしました。また、このダイエット法がこれまでの常識からかなりかけ離れた概念であるために、健康にとってどのような影響がでるのか心配であると、同時に興味がありました。
そして、井上一也・正子両先生のアドバイスを5いただいて、5 月に血液検査をしてもらい、その結果とダイエットに取り組む前の検査結果を比較ダイエットは現在も続行中(当人は一生続けるつもりのようです)で、この9 月或いは10 月頃にまた検査をする予定です。その時点で、健康に対する影響について、もう少し明らかになるもの

◇「アトキンス・ダイエット」の概要
それでは、実践記録内容に入る前にこの「アトキンス・ダイエット」の概要を簡単に述べます。
http://www2.plala.or.jp/eddie/index.html より抜粋*
「アトキンス・ダイエット」は、老化を少しでも遅らせるようにするため、一生続ける食事法であり、摂取する糖質を極端に制限する食事から始めて、たんぱく質と脂質の比率が高い食事を14日間実践し、その後、グリセミック・インデックス(GI 値)の低い炭水化物から、1 週間に糖質を5g ずつ増やしていって、理想的な栄養バランスを目指していくというものです。
体脂肪を減らして行くための考え方としては、食後、血糖値の一時的な上昇のピークを抑えることを、糖質(炭水化物から食物繊維を差し引いたものと説明しています)の量と質によってコントロールします。この考え方は、「シュガーバスター」、「ゾーン」、「間食すればヤセられる」等のローカーボ・ダイエットと基本的には同じです。
一方で、他のダイエット法にはない考え方としては、身体に蓄積されている糖と脂肪の両方をエネルギー源として活用できるようにするために、超低糖質で高脂質な食事の14 日間を設定していさらに、野菜、果物、主食などの選び方の基準
(1 )糖質に比べて食物繊維の比率の高い食品
(2 )糖質に比べて抗酸化物質の比率が高い食品という、2 つの尺度をもとに、食物繊維の多い食品、抗酸化物質の多い食品を積極的に食べるようにすすめています。 
                                  使用開始時写真使用3 ヶ月後写真
*開始日:平成14 年1 月1 日
*名前:ダイアン 長友*年齢:45 歳*性別:女
*目開始時体重:74kg 現在:65kg

◆1 月−4 月末
(インダクション⇒⇒⇒オンゴーイングステージ)の記録


<食事メニュー>
*朝食:
@モッツレラチーズ(1g )、トマト1 切れ、コーヒー(クリーム入り)、
Aベーコン2 切れ、トマト1 個、コーヒー(クリーム入り)、
Bスクランブルエッグ(卵2 個)チーズミックス、コーヒー(クリーム入り)イチゴ
上記3 つの朝食メニューを交互に繰り返す。
*昼食:
@ズキーニとマッシュルームのソテー、焼き魚
Aハンバーグ(カンガルー、オーストリッチ、ビーフ又は鶏肉)、ピーマンと玉葱のソテー
B焼肉(カンガルー、オーストリッチ、ビーフ又は鶏肉)前記3 つの昼食メニューを交互に繰り返す。肉類もその時の好みに応じて選択する。
*夕食:
@マッシュルーム添えステーキ(カンガルー、オ
ーストリッチ、ビーフ又は鶏肉)、サラダ、A焼魚、冷奴(青ねぎとブロッコリ)、豚汁(大根、油揚げ、トーフ、豚肉、玉葱)、Bカンガルー又はオーストリッチヒレ肉のタタキ、わさび醤油アボカド1/2
Cキムチ鍋(白菜、大根、豚肉、トーフ、ネギ)
上記夕食メニューを交互に繰り返す。鍋物に付いてはカキ鍋を除いて寄せ鍋や鳥鍋など具を工夫してバリエーションを増やす。(カキは炭水化物の含有量が高いので除去)
*間食:
@チーズ(カマンベール、チェダ−、スイス、ブルーチーズ等)、
Aナッツ類(アーモンド、ウオル
ナッツ、マカデミア等)日量1 /2 カップ以内
Bクリームチーズとセロリ、
Cゆで卵
*体重変動記録:
1 月 74kg →71kg(-3Kg)
2 月 71kg →69kg(-2Kg)
3 月 69kg →67kg(-2Kg)
4 月 67kg →65kg(-2Kg)
 4 ヶ月で-9Kg
毎 水曜日(7 :00 −9 :00pm )
毎日曜日(1 :30 −4 :30pm )
・水泳
毎日曜日(5 :00 −5 :30pm )
・スポーツジム毎月曜日(11 :00 −12 :00am )

◇実践してみての本人の感想
 これまでやったダイエット法の中で、これは最も無理が無くて、しかも着実に結果が出るので、今では生活の一部になりつつあります。無理をしないという点でみると、制限されていない食材を使用する限り、お腹一杯食べられることです。つまり、空腹に苦しむ必要がないことです。これまでのダイエットが、常に挫折してきた大きな理由は空腹感でした。それと、この方法によれば、食べたい物が食べられないフラストレーションから開放されたことです。というのも制限された食材の中に自分の好きな食べ物があった場合、代替食材あるいはメニューに関するヒントがこのプログラムでは豊富にあることです。また、お肉中心のメニューになりがちだったので、新しい食材としてカンガルーとオーストリッチ肉を加えてみました。両方とも極端に脂肪が少なく(1 〜2 %/100g )しかもBSE 、添加物、抗生物質などに汚染されていないクリーンな食肉としてヨーロッパやオーストラリアで広く食べられていると聞いたからです。味や食感は牛の赤身とそっくりで料理方法も牛肉に準じて調理しました。
 さらに最も大事なポイントですが、既に5 ヶ月目に入った時点で気が付いたことは、体の調子がすこぶる良いことです。以前にも増して健康でエネルギッシュになった気がします。このダイエットについては、いろいろ賛否両論があるようですが、これまでの4 ヶ月の経過を見る限りこれまでで一番効果的なプログラムだと確信し始めています。もっとも、これから長期間(私は、一生続けようと思っています)に渡って続けていった場合の効果と健康に対する影響については、自分自身で体験することになるでしょう。
次に大事なことは、私の場合100 %忠実にプログラムを実行したわけではではありません。自分の生活のリズムに合わせてメニューと食材を選び、さらに普段から行っている運動を組み合わせた結果だということです。また、多くの友人が私の結果を見てこのプログラムを実践し良い結果を出し始めています。私自身、友人が1 年で45kg 減量したことを目の当たりにみて始めた分けです。このダイエットプログラムの詳細を知りたい方は、[ローカーボ]をキーワードで検索すればサイトも沢山ありますし、ドクターアトキンスの本も出版されています。お勧めサイトは、http://www2.plala.or.jp/eddie/index.html でSlim Forever という欄で細かく説明しています。
 以上が4 月末までの簡単な記録と感想です。5月以降はメンテナンスステージに入りつつあり、食事のバリエーションも増えこれまでとはかなり変わってきました。6 月からは従来の運動に筋力トレーニングを追加して、引き締まった体形をめざして頑張っています。ちなみに、7 月半ばの体重は62 −63kg です。目標はあと4 −5kg減量し、その体重と体形を維持することです。

◇まとめ
検査デ−タへのコメント
 このダイエット法はバランスのとれた食事からは遥かにかけ離れたものではありますが、前出の長友夫人の写真に見るように明らかに効果がありそうです。血液検査ではダイエット前と3 ヶ月・7ヶ月後ではわずかですが憂慮される点があります。
総蛋白 7.1 →6.2 総コレ:195 →204 →236
中性脂肪 69 →99 →117
この3 つの結果を見ると正常なTP が下限を割り込んできている。TCh ・TG も正常範囲ではあるが上昇傾向にあります。この傾向がそのまま進展するとすればやはり危険を伴うダイエット法かなとも思われますが、これだけのデータでそのような結論はっきりとをだすことはできません。しかし言える事は、血液検査等を毎月位受け、確実に危険でないことを確かめる必要はあると思います。
(研究会顧問・医学博士 井上一也)

 私は、これまで妻が数え切れないほどのダイエット法を試みたのを知っていますが、こんなに嬉々としてしかも長期間続いたケースは初めてだということです。最初は三日坊主だろうと冷ややかな目で見ていたのですが、結果が目に見えて出ることで傍観者から観察者に変ってしまいました。
そして、今ではスポークスマンへとなりつつあります。しかし、食生活の変化が健康に及ぼす影響は、時間がかかることなので結論を出すにはまだ数年かかることでしょう。その時点で「アトキンス・ダイエット」がこの世のダイエットバイブルとなる可能性があるか、あるいはダイエット病を誘発する危険なダイエット法であるかが判明するでしょう。それまでは、冷静な観察者として推移をみて行きたいと考えています。
読者の皆さんで栄養士としての専門的立場からアドバイスやご意見がありましたらお知らせください。ダイエットに励んでいる本人に伝えたいと思います。

■高齢者の健康増進運動
〜栄養士の皆さんに期待すること〜
総合健康研究所 菅 野 隆
 健康増進に大きく関わる生活習慣の要素としては、運動、食生活、メンタル(スレスコントロール)、休養(睡眠)などがあげられます。一般的には、毎日の食生活が重要であると感じている方が圧倒的多数ではないでしょうか。そして、運動は健康増進からみて直接的な影響が見えにくいため、毎日の食生活に比べるとどうしても実施する頻度などで優先順位が低くならざるを得ず、好んで実践する人は少数派です。メンタルについても、とても重要ではあるけれど、心の問題は、形がなく目に見えないので、複雑で難しく簡単に扱えないといった理由から、取り組むことが後手に回る傾向があります。
 マスコミの扱いも、健康といえば圧倒的に「食べ物」が多いと感じます。井上先生が出演されている番組や、「ためして?」とか、「あるある?」など人気番組はこぞって食をテーマにし、チャンネルをどこに変えても、「北海道グルメ?」、「デパ地下?」、「ランチ?」、「どっちの?」、「ビストロ?」などと食一色で、健康食品、サプリメントのCM 、広告にいたっては、昨日はアミノ酸、今日は低インシュリン、明日はビール酵母かコラーゲンか?。「もうええかげんにせい!」といいたくなるほど、それだけ全国民の「食」に対する関心が高いのです。
 その一方、栄養士さんの仕事のフィールドに目を移してみると、職場は病院か給食センターか食品会社か、とけっこう地味で、限定されているように感じますが、これは資格ができた時代的背景によるのでしょうけれど、今のような食ブームの時代には、「プライベート栄養アドバイザー」のような、学者ではない栄養のスペシャリストがたくさん活躍していてもおかしくないのではないかと思いますが、成り立たないのか、ほとんどいないのが不思議なくらいです。私の周囲には、勉強熱心な栄養士さんがけっこういて、独立して数人で会社を作ったり、フリーで企業対象にカウンセリングを請け負ったりして頑張っていますが、少数派だといえるでしょう。(個人相手ではありません)
 企業の健康管理センターなどから栄養士の方に依頼のある仕事は、一般的には問診票でコンピュターで食生活を解析評価したシートをもとにして、1 人10 〜20 分の個人指導を行ったり、フードモデルを使って90 分程度の講演などが主です。
 また、地域の保健センターなどでの仕事も食生活の個人指導が主流になっています。
特別な例としては、以前、私が週2 回運動療法でお世話になっていたクリニックでは、栄養士の方が、ジョナサンライト博士や丸元先生の理論にもとづいて患者さんに食生活の個人指導を行ったり、アトピー性皮膚炎の方にビタミン、ミネラルのサプリメントを処方したりしていましたが、現状では経営的には難しいのでしょう。理想的には病院などでも治療のシステムとして病気の患者さんに、栄養士さんが食事指導をすることに保険点数を認めるなどできればもっともっと活躍の場が広がるし、むしろ薬のみの対症療法などよりよっぽど効果的な場合が多いと思うのですが、現在の社会的医療システムではできないのが現状なのでしょう。早期にきちんと食事療法を指導できる方が、「臨床栄養療法士?」などといわれる立場で、病院などでも活躍の場ができることを期待しています。
 一方、そんな矛盾の受け皿としてか、病気や、病気の一歩手前の人たちが今問題になっている減量目的の中国健康食品の被害にあった事件に象徴されるような、健康食品などに飛びつく構図があるわけです。例えば、「?で癌が消えた」とか栄養素や健康食品などの情報が野放し的に氾濫し過ぎていて、テリトリーを違反した情報を素人が平気で話しているとか、痩せるために運動もせず、食習慣も変えず、訳のわからない怪しいものに頼ってしまう本末転倒の危険性もおおいにあるわけです。
 以上、僭越ながら私の仕事をとおしての、栄養士さんの仕事に関するとりとめのない感想を述べさせていただきましたが、社会のシステムを変えることは違ったところに任せるにしても、ぜひ栄養士の皆さんに頑張っていただいて、駅前に乱立している、クイックマッサージやリフレクソロジーのような形でも、「食の指導者」として一般の人たちに正しい食事処方や自然食、健康食品、サプリメントなどの情報提供をするような仕事を作り出していただきたいと期待しております。栄養士さん頑張って下さい!

◇イラストによる運動方法の事例
前号では、具体的な運動方法を文章で解説のみでしたので、今回は分かりやすくイラストでご紹介します。高齢でない方も、ぜひ今の内から実践して下さい。





編集後記
この14 号発行に当たり栄養かわらばん編集者
(広報部理事)の皆にとって嬉しい変化があった。理事の中川世理子氏に広報部にも入って頂けたことである。今まで広報部には一人も栄養士がおらず、会員のニーズがどのようなことにあるかがまったく判らずにいたが、これからは栄養士の中川氏の意見を聞き、栄養士である会員により喜ばれるかわらばん作りに励めると思う。
日本医療栄養センターで行っている食生活ウォッチングのコメント書きの仕事を会員にも参加してもらいたいと思います。詳しい案内は全会員に後ほど送りますが、コメント書きの要点、注意点などを話す勉強会を9 月11 日(水)に行いますので参加したい方はこの勉強会に是非ご出席下さい。
(顧問 井 上一也)

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