第22話 寒天オリゴ糖の不思議な力
寒天は、平安時代から賞昧されていた日本の発明品ですが、商品化されたのは江戸時代からです。製法は、紅藻類のテングサを煮た液を@濃縮→A冷やして凝固→B凍結を2度繰り返した後、融解・乾燥させて出来上がりです。この白い乾物に「寒天」と名付けたのは隠元和尚といわれ、寒い日に天、つまり自然が作らしめるという意味を込めたものであるようです。
今や、みつ豆やところてんなどの冷菓としておなじみの寒天ですが、純粋なものは菌を植える培養基として用いられるなど、現代バイオテクノロジーに欠かせないものとなっています。寒天の主成分はアガロースと呼ばれる多糖類で、加水分解すると「アガロオリゴ糖」が得られますが、加水分解は胃酸によって胃の中でも行われています。乾燥重量100g中80・9gの食物繊維を含む寒天の働きは、以前から高く評価され、健康食品とされています。
腸の中でコレステロールの吸収を阻害する機能があり、100g当たり7キロカロリーとローカロリーなので、肥満者対策食品としても人気があります。日本人は年間一人平均20gの寒天を摂取しています。さらに最近、アガロオリゴ糖にガン抑制作用と抗酸化作用という2つの生理機能が発見されています。実験では、ガン細胞を持つマウスに3%の寒天オリゴ糖を4週間与えると、20%のマウスのガン細胞が自滅し、残りのマウスの腫瘍の犬きさが約60%小さくなったとされ、細胞の培養実験でも、大腸ガンは24時間、胃ガンでは48時間で自滅したと報告されています。人間に必要な酸素も、不飽和脂肪酸や紫外線やストレスなどと反応すると活性酸素やフリーラジカルを形成し、細胞や遺伝子に障害を与えてガン化の原因になりますが、この活性酸素やフリーラジカルの一つであるNO(一酸化窒素)は、体内で両刃の刃として働いています。血圧降下や血管拡張、病原菌を殺す作用など善玉の役割にもなっていますが、先の不飽和脂肪酸のほかにストレスや紫外線などの刺激によって、体内に過剰生産されると周辺の細胞を破壊してさまざまな疾患を引き起こす悪玉の性質も併せ持っているのです。
ガン研究最前線では、ガン細胞がNOを活発に生産して周りに血管を新生し、ガン細胞に窒素を供給するシステムを構築することを明らかにしています。これに対して、アガロオリゴ糖はNOの過剰生産を抑え、正常レベルに維持する働きがあることが発見され、事前に添加しておくことでも効果がありました。日本人になじみ深い寒天から、ガン抑制作用を持ったオリゴ糖が得られることは、日本が世界一の長寿国であることと関係がありそうに思われますね。
月刊コーヨーライフより
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