栄養小話 第24話 野菜の王様・大根は万能薬 風邪を予防し、ピロリ菌も撃退
大根は古くから食べられていた野菜で、原産地はロシア南西部のコーカサス地方といわれていますが、古代エジプト時代、ピラミッド建設の労働者に食べさせていた栄養食品として玉ねぎやにんにくとともに記録が残っています。日本には奈良時代に中国から伝わり、改良が加えられて、現在では年間生産量日本一の野菜で「野菜の王様」と呼ばれています。なじみ深いこの野菜が、特に美味しい時期が冬。冬の大根は比較的値段も安く、ビタミン、ミネラル、酵素が豊富で栄養価が高く、幅広い生理機能がある万能薬で、その効果は食べる部分と調理法によって変わります。
大根は葉に近い方に甘みがあり、この部分には酵素やビタミンCが豊宮で、肝臓病や風邪の予防に効果があります。また、でん粉の分解酵素であるジアスターゼをはじめとして、解毒作用のあるオキシターゼ、アミラーゼ、たんぱく質分解酵素のセルラーゼなどたくさんの酵素が含まれており、食物の消化吸収を良くすると同時に代謝を高め、肝臓の働きを助けてくれます。風邪予防を期待するなら、やはりビタミンCの多い葉に近い上部の首の部分を大根おろしにして食べるといいでしょう。この部分には鉄やマグネシウムも多く、粘膜の炎症をやわらげ、殺菌効果もあります。おろし汁をうがいに用いると風邪予防になりますし、引いてしまったらおろし汁に蜂蜜を加えたものを飲むのもいいでしよう。ビタミンCと酵素は熱や空気に弱いので、予防効果を期待するのなら加熱し過ぎないようにして、できれば生食がよいでしょう。その場合も切ってから時間を置かないようにします。一方、大根は下部の先にいくにつれて辛くなります。
先の方に多い辛味成分には、胃に住む病原菌菌のピロリ菌を撃退する働きがあるとされています。胃炎や胃潰瘍の主原因とも考えられているピロリ菌撃退の働きをするのは、大根の辛味成分のイソチオシアナートと呼ばれるもので、香辛性化合物(芥子油配糖体)であるグルコシノレートから分解して作られます。グルコシノレートは大根の組織を細断したり磨砕したりすると、大根が自らの傷の修復のために出すもので、これが組織中の細胞内にあるミロシナーゼという酵素により分解されると、辛味成分のイソチオシアナートが生成されます。最も効果的な食べ方は、幸い先の部分の大根おろしです。大根おろし100gからは10〜20rのグルコシノレートが生成され、さらにその5分の1程度に相当する2〜4r以上(10r程度)のイソチオシアナートが生成すると考えられることから、この重量でピロリ菌の生育阻害効果が期待できるとされています。
月刊コーヨーライフより
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