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栄養小話 第28話 痴呆を防ぎ、治すための食事

 現在、痴呆の有病率は65歳以上の人口の4〜5%、60万〜70万人と推定されています。痴呆になる原因はさまざまですが、その1つに食生活も挙げられています。痴呆の患者さんの食事調査で、魚を食べている人はその進行が遅いことがわかりました。食事に気を付けることによって発病を防ぐ(遅らせる)ことが期待できるのです。

■良質なたんぱく質は痴呆にも有効
 近年の研究でたんぱく質を構成するアミノ酸の1つであるトリプトファンに痴呆を防ぐ働きがあることが報告されました。トリプトファンは重要な脳の神経伝達物質であるセロトニン、ドーパミンなどの先駆物質(原料)で、理想的なアミノ酸組成を持った良質たんぱく質である魚肉類・牛乳・乳製品・卵・大豆等に多く含まれています(たんぱく質は69歳までの成人男子は70g、女子は60g。70歳以上の男子は65g、女子は55g摂ることが必要です)。

■脳細胞を活性化する魚肉の脂肪酸
 一方、痴呆予防には脂肪の種類も大切で、魚の主な脂肪の多価飽和脂肪酸に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸・最近ではIPAとも呼ぶ)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は血液をサラサラにし、できてしまった血栓も溶かす作用をもつため、中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールを滅らし、HDL(善玉)コレステロールを増やして、動脈硬化を予防します。中でもこの効果が強いのはEPAで、植物油中のリノール酸からできるアラキドン酸がもつ血小板凝集作用を抑制して、血液の凝固による血栓症を防ぎます。DHAには、脳の神経細胞のつなぎ目(連絡橋)であるシナプスを増やし強化するという独特の働きもあり、脳機能を活性化します。このように魚油は脳梗塞などの血管の病気を防ぐだけでなく、血管障害が原囚で起こる老人性痴呆の予防や治療に有効とされています。1日1食は魚を食べるようにしましよう。

■老化の鍵を握るビタミンE
 神経細胞がシナプスの芽を伸ばすのに必要な物質には、レシチン・カルシウム・ビタミンEなどがあります。ビタミンEは細胞膜の中のリノール酸やアラキドン酸などの脂質が酸化するのを防ぎます。ビタミンEの働きが不十分になると、脂質が過酸化されて細胞膜に傷がついたり、細胞膜に存在すを食べるる酵素(たんぱく質)が変性し膜の機能が低下して老化が進みます。また、発生した過酸化脂質やそれが分解してできた物質が細胞内にあるたんぱく質と結合して、動脈硬化の原因となるセロイド色素という物質を生じさせます。
ビタミンEには、ビタミンAやカロチンの酸化を防ぐ作用や、ガンの発生や転移を抑える効果もあり若々しい体を保つには不可欠なものです。

■コリンを多く摂れぱ、アルツハイマー型痴呆が防げる?
 神経伝達物質のアセチルコリンを増やすには、原料となるコリン、レシチンをたくさん食べることが必要です。
コリンは、食物の中では、卵黄・大豆などのレシチンの中に多く含まれます。
現在のところ、レシチンをたくさん食べて人間の記憶力が良くなったり、アルツハイマー型痴呆が良くなったという報告はほとんどありません。しかし、アセチルコリンはコリン(レシチン)を食べない限り脳で合成されません。
また、脳内にたまるアセチルコリンの量は食べるコリンの量によって決まることなどを考えると、レシチンは多く摂ったほうが良いといえるでしょう。

月刊コーヨーライフより 

 

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