栄養小話 第36話 喫煙か健康か
禁煙のすすめ
イギリスの禁煙王ジェームスー世は、タバコの人体への有害性を説いたことで有名ですが、王立医師会でも「喫煙か健康か」というレポートの発行を続け、その中で喫煙による死亡率の増加から計算するとタバコ1本吸うことに寿命は5分30秒縮まるとしています。その原因のトップは、虚血性心臓病であり、次いで肺ガン、慢性気管支炎、肺気腫などの呼吸器系の疾患、さらに大動脈瘤、食道カンが挙げられています。
アメリカではかつて、タバコ指数「1日の本数×喫煙年数=400」という数式を出し喫煙者に警告しました。つまり1日20本吸う人は20年でやめ、10本なら40年で終わりにせよ、としいう考え方で喫煙の害を説いたものです。日本でもタバコの害として喫煙者自身の健康をそこね、動脈硬化の促進、呼吸器疾患の発現を進行、ガン、胃腸病との関連性などが解明され、各種の成人病に悪影響を及ぽすこと、同時に同席する非喫煙者にもタバコの害が及ぼされることが明確にされたことから、厚生労働省では、全国国立医療機関では一定の場所以外での喫煙を禁止するように指示を出しています。
禁煙のゆくえ
(1) 夕一ルの毒作用:タバコの煙を凝縮すると、いやなニオイでネバネバするタール分がでますが、1日20本なら1年で約コップ1杯の夕一ルが肺の奥底にふきつけられることになります。タバコの煙は、空気中のほこりや細菌を捕らえる気管支粘液を肺からのどのほうに移す繊毛運動を弱めるため、ふきつけられた夕一ルは容易にガス交換の場である肺胞に達し、毒性を発揮します。一方有害な物質を処理する働きのあるマクロファージ(大食細胞)の機能も、タバコに含まれる有害物質の二酸化炭素によって弱められるため、夕一ル分の浄化は困難になり、害が助長されます。
(2) 危険は一酸化炭素:無色無臭の気体ですが、タバコの煙の中で最も毒性の強いのが一酸化炭素です。普通の紙巻タバコの煙の中には、およそ4%程含まれており、酸素を身体のすみずみにまで運搬してくれる血液中のヘモグロビンに対し、酸素の200倍もの強さで結合してしまうために、酸素の供給が阻害されます。非喫煙者の血液中の一酸化炭素ヘモグ□ビン含有量はおよそ0.5〜2.0%ですが、喫煙者では4〜5%と高いので驚かされます。この結果、タバコにより身体の各組織は常に酸素不足にさらされ、同じスポーツでも、喫煙者は早く息切れし、また虚血性心疾患(冠状動脈硬化)のあるものには、狭心症の発作を誘発させます。
(3) 「今日も元気だ、タバコがうまい」:はニコチンの慢性中毒状態を示し、脳幹部の麻癖、鎮静作用を持つことから、一時的にストレスを和らげられるかもしれません。しかし、ちょっと一服と、火をつけたタバコから立ちのぼる紫煙は、大気汚染の元凶である窒素酸化物をはじめ、一酸化炭素、そして、さまざまな浮遊粉塵を発生させます。冷房中の部屋などは、たちまち環境汚染の基準値を越えてしまうほどです。そのとき、喫煙者は自分が悪質な公害源になっているという恐ろしさを知ってほしいのです。すでにニコチンになれ親しんだ人をタバコから遠ざけることはきわめて難事ですが、事あることに喫煙の害に耳を傾け、率先して喫煙の悪習慣を絶つことで健康推進をはかっていただきたいものです。
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