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栄養小話 第38話 ストレスからの回復

ストレスの発散により脳の反応が違ってくる

 ストレスが加わると、私達は様々な反応(ストレス反応)をしますが、特に「脳に起こる変化」として、脳の中で情報を伝える「神経伝達ホルモン」のひとつであるノルアドレナリンの放出量を測定する方法が用いられています。この量が多い時は、脳でのストレス反応が増強してしいるとかんがえられることから、測定によりいろいろなことが判ってきました。例えば、通勤電車の混雑では、身体のストレスは次第に慣れが生じ、脳のストレス反応も弱まる傾向を示しますが、心理的ストレスは反って強まっています。これは、ストレスが加わっても、それを発散できる方法があれば脳のストレス反応は比較的早く回復することを示しており、図1のようにネズミをあお向けにし(ネズミには強いストレスです)、片方のネズミだけ著が噛める(ストレスを発散させる)ようにすると、噛めなかったネズミのストレス反応は時が経っても強まる一方なのです。

図1: 縦軸は脳の中のノルアドレナリン放出量で、ストレス度を表します。あお向けにする前を100として比較したグラフです。斜線の部分はあお向けにしている状態のときです。

コントロールできるストレスなら反応は小さい
 別の実験ですが、ネズミをAとBに分けて箱に入れ(電気ショック)を加えました。ただし、Aの箱にはネズミが押すことのできるレバーをセットし、これを適当な間隔で押せば電流が止まるようにしておきました。その結果、はじめのうちはレバーがセットされているAのほうがBのストレス反応より強かったのですが、Aのレバー押しの学習が進むにつれ関係は逆転して、Aのストレス反応は急速に弱まってゆきました。つまり同じストレスを受けても、それが自分でコントロールできるか否かで、ストレス状態での脳の変化に大きな差がでてくるのです。

年をとるとストレスからの回復が遅くなる
「年をとるとストレスがこたえる」とよくいわれますが、ストレスを受けたときのストレス反応の強さを実験により測定すると、若いネズミも年をとったネズミにも差はありませんでした。問題はその後のことで、若いネズミの回復は早かったのですが、年をとったネズミは遅かったのです。しかもこの傾向は、脳の中でも不安や恐怖などの情動に密接に関係する「扁桃核」というところで最も目立ちました。これは現代人の脳でも同様なことが起こっていることが推測され、中高年者のストレスからの回復が遅いことと「うつ病」が多いことが関係あるのではないかと注目されています。

 

図2:縦軸はノルアドレナリン放出量(ストレス度)を表します。ストレスを加えないとき(横軸ではCの部分)を100として比較したグラフです。 横軸はストレスから解放されてからの時間を示しています。若いネズミの回復は早く、年とったネズミはなかなか回復しません。

ストレスから回復する方法
 気がつかずにストレスをため込んでいる人が意外に多いので、まず「自己のストレスに気づく」ことが大切です。次は「十分な睡眠」と「栄養バランスの良い食事を規則的にとること」で、ストレスからの回復を早め、さらに「切り換え」も重要です。ストレスのある場面からの切り換えとしては、スポーツや趣味に取り組むこと、ゆっくり入浴することなどが有効です。

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