10/29 第48回栄養改善学会学術総会 発表演題抄録
■■食生活継続通信指導に関する研究(第4報)■■
〜企業における継続通信指導の10年問の傾向と効果〜
○井上正子 富岡悦子 井上一也(日本医療栄養センター)
【目的】 企業で働く社員と家族の健康管理の一助として通信による食生活指導を実施して11年目を迎えた。10年間で実施延べ人数が20841人(女性76%、男性24%)、個人別には12198人が受診した。この10年間の指導内容を振り返り、継続者の食生活における意識、内容の変化や傾向を確認し、指導効果の検討を行なったので報告する。
【方法】 年1回、各家庭に食生活調査表を送付、回収して指導を行っていたが、9回より主婦健診受診者に対象を絞って実施する一方で、その他の希望者も受診可能にしたところ、回収率が上昇した。今回は10回目受診した者を対象に継続回数による食生活内容の変化、受診者の感想等を中心に分析を行った。
【結果】 10回目の受診者は3049人で、その内初回者は46%、継続者は54%であった。継続者の内2〜5回の受診者が90%、6〜10回と多回数受診している者は10%であった。食生活内容(食品の摂取状況や食習慣)を5ランクに分けて判定した結果を、受診回数により比較してみると、ほほ合格とされるA.B判定が初回者11%、2〜5回 18%
6〜10回 26%であり、逆にかなりの改善を要D.E判定が初回者35%、2〜5回 27%、6〜10回 21%と多回継続者の方が良い傾向であることが確認できた。しかし多回継続者の中でも順調に改善されている者ばかりではなく、女性では生活環境の変化(妊娠、出産、子育て、同居、仕事、子供の独立等)が食生活に影響を与えている。
例えば、改善してきたところで仕事を始め、外食や市販品の利用が増え、食品の過不足が目立つようなる等がある。しかし受診感想は「一時期食生活が乱れたが、指導により反省点がわかり、改善の努をするようになった」とある。このように長い人生で色々な分岐点があるが、継続指導により食生活の意識改革が上手にでき、また主婦として家族全員への食事配慮が上手になされている傾向も捉えられることから、指導の重要性が示唆される。
■■米の普及を目的とした米粉製品の試食と試作の研究■■
日本医療栄養センター
○藤田満美子○井上正子(所長)
【目的・意義】 現在日本における国民1人あたりの米の消費率は年問で71.9kg,1日当たりで196.5gである 。 これは、過去40年問の中でのピーク時である昭和38年(126.2kg/年、345.7g/日)の55%にあたり、国民の
米の消費率が顕著に低下していることがわかる。そこで近年、農林水産省をはじめ多くの機関で米の消 費拡大や食糧の国内自給率の向上を目指す活動がはじまっている。こうした中で当センターは北陸農政
局より米粉の普及を目的として米粉パン製造を行なっている団体(米ワールド21普及協議会)の紹介を受 け、その団体が開発、販売している各種パンを試食し、次いで米粉での試作等を行い、普及についての
検討をおこなったので報告する。
【方法】上記団体より送付された米粉製品(パン、パスタ)及び、製品の原材料である米粉を用いた食品 の試食や試作、検討を行なった。米パンの美味しさを判定するために同団体が製造している小麦パンを
比較対象として、味覚テスト(A.きめB.色C.弾力D.硬さE.香り)を1.製造後の日数経過による変化、2.焼 いた場合、3.冷凍保存した場合(冷凍保存の解凍方法の違い)で実施した。米粉については鮫子、シフォ
ンケーキを作成し、小麦粉製品と出来上がりの状態を比較、検討した。
【考察】消費期限(製造より3日後)内の米パンは小麦パンに比較して、もちもちした歯ごたえと弾力があ り米の風味がありしっとりと美味しいと評価されたが、期限後硬くなりパサパサして香りがなくなるの
は米パンの方が早かった。しかし、日が経つと型崩れしやすい小麦パンに対し、米パンはそれが少ない ことからより広範な条件を必要とする外食産業に適していると思われる。主食としての新しい利用法で
ある米パンは、めし同様、和洋中華どのおかずにも合い、バランスのよい食事となるので、その他の米 粉製品とともに多方面での今後の普及が期待できる。
■■管理栄養士国家試験受験のための理想とする通信教育■■
〜インターネット教育による学習システムの開発〜
日本医療栄養センター
○佐藤 綾○井上正子(所長)
【目的】 現在、栄養士、に対し高度な見識と技能が求められ、社会的役割も大きく変化しようとしてい る。1962年栄養士法の一部改正により管理栄養士が誕生し、2002年より更に高度な専門性が条件づけら
れることとなり、栄養関係の各分野での活躍が期待されている。こうした中で、管理栄養士国家試験(以 下、国試とする)は15回となり、受験者数は増加の一途にあるが合格率は、年々下降し14回では30%を切
っていた。
そこで、合格率を上げること、受験に慣れていないために不合格となる実カのある栄養士が国試に受か る方策を検討した。その結果、近年普及しているパソコンを用い、各個人へのインターネット教育で、
短時間で有効、合格後も役立つ知識が得られる学習内容であり、また受講者の経費負担を軽くした通信 講座を開設したいと考え、企画 し、運営を進めているので報告する。
【方法、考察】 合格を確実なものとするには過去問題の完全学習が望ましいが、国試は出題範囲が広く 特殊な出題もあり、受験勉強は容易ではない。過去14回の出題問題を分析すると、科目の域を超えるケ
ースが多いことから、内容別にA栄養指導、B.人体、C.食品、D.法律閏連に大きく分類し、分類した類似 問題により、集中した繰り返し学習が効率よくでき、また、年度毎の出題傾向を一目で分かるように示
したことで、得点につながる科目を優先、重点的に学習しやすいようにした。本講座の学習は、コンピ ューター画面上で進めていくことを基本に、受験科目の4分類を理解すれば、どの教科、どの単元からで
も学習できる。関連問題や資料にはリンクをはり、必要な情報を得ることができるようにし、ただ暗記 するのではなく問題を理解し、確実に正解答を選ぶ力を養うことにも役立つようにした。本講座を開設
するにあたり、今後さらなる検討を重ね、管理栄養士を目指す多くの方々に役立つ内容にしていきたい 。
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